12月24日(土)に名古屋大学で行われたクリスマスレクチャーズ2018について報告します。第1部~第3部まで、時間は13:30~17:00と盛りだくさんの内容でした。参加者は120名程度ではないかと思います。
第一部は、「X線で見る灼熱の宇宙」と題した、中澤知洋准教授(U研高エネルギー天文学グループ)の講演です。 科学者に必要なものは、未知のものに対する好奇心で、天文学者も好奇心をもって宇宙のことを知る努力を続けているそうです。 可視光とは異なるX線天文学の最前線を紹介していただきました。
X線は可視光線に比べはるかに波長が短く、恒星よりも高温の天体から放射されます( ウィーンの変移則による)。そのため、X線で見る宇宙は可視光線で見る宇宙と全く異なり、白色矮星、中性子星、ブラックホール(周囲のガス)などの天体が観測されます。これらの天体は恒星と比べ非常に小さいのですが、X線のエネルギーは高いため、通常の恒星よりも明るくX線で輝くことになります。
残念ながら事故で短期間で運用を終えたX線天文衛星ひとみは、ペルセウス座銀河団のX線スペクトルを高精度に観測し、その組成が太陽系と同じであることを明らかにしました。後継機(XRISM)は2021年に打ち上げ予定だそうです。
第二部は、「ALMAの奏でる膜宇宙」と題し、福井康雄特任教授による電波天文学の最前線の紹介です。
講演に先立って、研究予算が年々厳しくなっているというお話がありました。国立大学の独法化により、運営交付金が1400億円減少し、教員数も4,000人以上減って、現在は64,000人、特に若手教員のポスト減少が深刻とのこと。
講演はALMAの成果を中心に、1大小マゼラン雲における分子雲衝突による星形成、2銀河系中心における磁気浮上ループの発見、3ガンマ線超新星における分子ガス観測、4分子雲衝突による巨大星の形成といった内容でした。
ALMAの観測により、分子雲の速度が高い分解能で求められ、そのデータをもとに様々な成果を得ることができました。
ちなみに、X線は高温の物体から発せられますが、ALMAが観測するミリ・サブミリ波は、絶対零度に近い低温の分子雲から発生しています。
最後に、NHKラジオで12月2日に放送された、文化講演会「宇宙への夢 果てしなく」は次のURLで、1月28日まで聞くことができるとの紹介がありました。
http://www4.nhk.or.jp/bunkakouenkai/22/
第三部は、「はやぶさ2が見た小惑星リュウグウ」と題し、渡邊誠一郎教授によるはやぶさ2プロジェクトとリュウグウの姿の紹介です。
最初は、クリスマスと冬至の話から入り、次に惑星観測からニュートン力学が生まれた科学史の話へ。
次に小惑星に話が移り、はやぶさが到達したイトカワはS型(着色コンドライト)の小惑星、はやぶさ2が向かうのはC型(炭素質コンドライト)の小惑星。S型は明るく太陽に近く、C型は暗く太陽から遠いのが一般的です。同位体比も異なります。 46億年前に誕生した微惑星で80万個ほどあります。
小惑星の大きさは、平均100km程度、最大のケレスは1000km、イトカワは極小で500m。
C型の小惑星は、太陽から遠い位置にいたが、惑星(恐らくは木星)の重力の影響を受け、S型とC型は一部の軌道が混在することとなったそうです。
はやぶさ2には様々なカメラが搭載されており、観測や着陸地点の選定などに用いられます。内訳は、可視では分光カメラと通常のカメラ、距離計、近赤外分光カメラ、熱画像カメラです。
リュウグウの表面は想像以上に岩が多く、着陸地点の選定に時間を要していますが、2019年1月末にはタッチダウンを行う予定です。マーカーから半径10m以内が目標。
地球への帰還は2020年12月の予定とのことです。