2024年4月21日(日)13:30~
はれー倶楽部令和5年度第3回例会の報告です。
参加者は27名でした。(①~⑯は文末の関連リンクの番号)
1.特別講演会「最近の太陽活動と火星衛星探査計画MMX」
今回の特別講演会は、「最近の太陽活動と火星衛星探査計画MMX」と題して、矢治健太郎先生(宇宙航空研究開発機構 国際宇宙探査センター 火星衛星探査機プロジェクト)にご講演いただきました。
太陽①は直径140万km、地球の直径の109倍の巨大な星です。太陽までの距離は1億5千万kmで、光で8分19秒かかります。
黒点②は太陽の活動を示す指標の一つであり、これを定量化する指標として、黒点相対数③=黒点群数×10+黒点数 が考案されています。2024年4月20日には相対数283という多くの黒点が観測されています。(下図)
2024年4月20日の太陽黒点
この太陽を白色光、Hα線、X線で観測したものが下の図です。
3波長で見た太陽
Hα線は水素原子が出す光で、黒点付近にフィラメントと呼ばれる黒い筋が見えます。これはプロミネンス④を上から見たもので、太陽の表面より温度が低いために黒く見えます。黒点付近には強い磁力線があり、この磁力線付近にあるコロナがX線で明るく見えています。
黒点相対数は、2024年現在、ピークに近づいていると考えられます。(下図)
太陽黒点数(相対数)の変化
黒点は、太陽の北半球と南半球にできるものがあり、上の図のとおり、最近は北半球(青色)のピークに少し遅れて南半球(赤色)のピークができる傾向があるそうです。また、黒点が発生する緯度と黒点数には一定の関係があって、同じ周期で変化しています。⑤(下図)
黒点が発生する緯度と黒点数の関係
黒点数がゼロに近づいた後に出現する黒点は、太陽の南北の高緯度地域に発生します。これが次第に数を増すとともに、発生場所が太陽の赤道付近に近づいていきます。すると黒点数は減少し、ほぼゼロになります。これを一定の周期(11年程度)で繰り返していることが上図からわかります。
現在の黒点数は、観測上25番目のサイクルであり、現在はそのピークに近づいているものと推測されます。黒点数が増加すると、太陽フレアも増加します。(下図)
フレアの数と黒点数
折れ線グラフが黒点数で、縦棒グラフがCクラス以上のフレア⑥を示しています。大規模なフレアが発生すると、地球上や人工衛星などに甚大な被害を及ぼす恐れがあります。
X5クラスのフレア
2023年12月31日にはX5クラスの巨大フレアが発生しましたが、幸い地球とは異なる方向を向いていたため、被害はありませんでした。
太陽観測衛星「ひので」⑦(Solar-B)は、2006年に打ち上げられ2016年に観測結果をまとめたひので10周年記念ムービー⑧が作成されました。現在は後継機としてSolar-Cの打ち上げが計画されており、その打ち上げは2020年代後半(2028年頃か)とされているそうです。
日本の宇宙開発で惑星探査をめざしている計画がMMXです。火星衛星探査計画(MMX : Martian Moons eXploration)⑨⑩は、2026年度の探査機打上げを目指し、研究開発が行われています。計画では火星衛星(フォボス・ダイモス)の擬周回軌道に入り、火星衛星観測・サンプル採取(フォボス)を行います。観測と採取を終えた探査機は、サンプルを携えて地球に帰還する計画です。
MMXの1/2サイズの模型が、蒲郡にある「生命の海科学館」⑪で2024年4月27日(土)~6月23日(日)まで展示されているそうです。
<関連リンク>
①https://ja.wikipedia.org/wiki/太陽
②https://ja.wikipedia.org/wiki/太陽黒点
③https://ja.wikipedia.org/wiki/ウォルフ黒点相対数
④https://ja.wikipedia.org/wiki/紅炎(プロミネンス)
⑤https://ja.wikipedia.org/wiki/シュペーラーの法則
⑥https://ja.wikipedia.org/wiki/太陽フレア
⑦https://ja.wikipedia.org/wiki/ひので_(人工衛星)
⑧ひので10周年記念ムービー
https://hinode.nao.ac.jp/10th/movie/10.html
⑨火星衛星探査計画MMX(宇宙科学研究所)
https://www.isas.jaxa.jp/missions/spacecraft/developing/mmx.html
⑩https://ja.wikipedia.org/wiki/火星衛星探査計画
⑪生命の海科学館開館25周年記念 特別展「日本のサンプルリターン」
https://www.city.gamagori.lg.jp/site/kagakukan/mmx2024.html
2.プラネタリウム「おとめ座物語」
プラネは「おとめ座物語」と題して、おとめ座にまつわる神話と、おとめ座銀河団のお話でした。
今日の星空では、日没後の夕方、西の空に木星が見えます。金星は太陽よりも先に沈み、明け方の空に見えます。夜8時頃には、冬の大三角が西の空の低い位置に、東には春の大三角⑫があります。
春の大三角は、うしかい座のアークトゥルス(0等星)、おとめ座のスピカ(1等星)に、しし座のデネボラ(2等星)を加えた3つの恒星が形作る三角形です。
おとめ座⑬の神話は、「農業の女神デーメーテール」の神話と、てんびん座⑭と合わせた「正義の女神アストレア」の神話があります。
人間が初めてこの世界に現れたころ、世の中はまだ平和な「黄金の時代」でした。アストレアやほかの神様たちは、そのころは地上にいて人間とともに暮らしていました。次の「銀の時代」には少し生活が厳しくなりました。「銅の時代」になると、人間は武器を作って争うようになります。そして最後の「鉄の時代」になると、世の中が荒れ、人間の心はどんどんすさんでいきました。神様は、人間を見放して天界へ帰っていきました。
アストレアは一人残っていましたが、最後には、もう私の手に負えないと、地上を去って天へ帰ってしまいました。そして〈おとめ座〉になりました。アストレアの持っていた善悪の重さをはかる天秤も天に上り、〈おとめ座〉のすぐ隣で〈てんびん座〉になったといわれています。
おとめ座の方向には、太陽から約6000万光年の距離に「おとめ座銀河団」⑮⑯と呼ばれる多数の銀河があます。その中で最も明るいM87星雲は、2019年にEHTにより中心部のブラックホールが観測されたことでも知られています。
<関連リンク>
⑫https://ja.wikipedia.org/wiki/春の大三角
⑬星座八十八夜 #18 翼を背負った農業の女神「おとめ座」
https://www.astroarts.co.jp/article/hl/a/13148_mook-vir
⑭星座八十八夜 #25 善悪をはかる「てんびん座」
https://www.astroarts.co.jp/article/hl/a/13175_mook-lib
⑮おとめ座銀河団(動画あり、天文学辞典:日本天文学会)
https://astro-dic.jp/virgo-cluster/
⑯https://ja.wikipedia.org/wiki/おとめ座銀河団